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企画・仕入

多様な意見を吸収する柔軟性こそがIbanezの強みの根幹だと思います。

Ibanez DIVISION マーチャンダイジング部 エレキギター・プロダクト

星野楽器株式会社

2019年入社(工学系専攻修了)

  • ー 現在の仕事について教えてください。

    マーチャンダイジング部では商品に関わる業務を幅広く担当しています。企画に始まり、仕様書作成や試作品の発注、価格交渉、生産開始後の納期や品質の管理もしています。ほかにも、Webに掲載する商品情報の作成や、木材の原産国、塗料やパーツの環境規制情報の管理も行っています。日々定型的な作業を行うというよりは、部署内外の社員と協力しながら多様なタスクを臨機応変に進めていくというのが、日常の業務風景です。

    星野楽器はギターの自社工場を持たずに、OEM契約を結んだ取引先の工場に量産を委託しています。国内外含め多数の取引先工場がありますが、その中でも私は低価格帯から高価格帯まで幅広い商品を扱っている国外の工場を担当しています。取引先とのやりとりは主にメールで行いますが、ときには実際に工場に赴き、工程や実物を見ながら担当者と直接話し合って仕事を進めることもあります。

    エレキギターはファッション性の高い商材で、見た目だけではなく機能や仕様も含め流行り廃りが生じるものです。そうした市場のトレンドが売上に大きく影響します。世界にはたくさんのギターブランドがありそれぞれの強みを持っていますが、その中でIbanezは特に、トレンドのリードを得意とするブランドだと思います。ただ流行をなぞるだけではトレンドをリードしているとは言えません。流行の本質を捉え、「Ibanezだからこそ表現できる、新しさや面白さ」といった付加価値を消費者に提供することが求められます。昨今は嗜好の細分化が進み、瞬間的なトレンドが世界中で発生しては消滅しています。現代は、情報が世にあふれているからこそ、流行の本質を見極める力が問われるのです。私たちが作ろうとしているのは、まだ誰も知らない新しいもの。明確な答えはどこにも存在しませんから、何が良いのか、何が求められるのかを自分たちで考えて判断していくことになります。そのプロセスでは、楽器や音楽に関する知識はもちろん、分野を問わずあらゆる知見が活きてくると感じます。

    星野楽器には、立場や年齢を問わず自分の意見を率直に言い合える風土があり、若手だからこそ意見を求められることもよくあります。入社間もない頃に私も新商品の企画に携わったのですが、当時は自分の意見が商品に反映されて世に出ていくことをうれしく感じる一方で、発信した考えが影響力を持つということに対して大きな責任を実感できたのも、良い経験となりました。トレンドをリードするために多様な意見を吸収する柔軟性は重要ですし、それこそがIbanezの強みの根幹だと思います。私もそうした風土を大事にしていきたいですね。

  • ー 星野楽器を選んだ理由を教えてください。

    やりたいことをやろう。と、会社の規模が大きすぎない。の2つです。

    近頃ワークライフバランスの考え方が根付いたとはいえ、一日の大半の時間を仕事に充てるのですから、同じ働くのなら好きなことに関わりのある仕事に就きたいと考え、とにかく自分の好きなものを作っている企業を片っ端から調べました。音楽は子供の頃から身近にありましたし、自分の好きなものの中にはIbanezのギターも含まれていたため応募しました。

    理系の大学院に在籍していたので、周りは推薦や学内に来るリクルーターを通じて就職する人が多く、私のように専攻と全く関係のない業界の企業に自由応募するケースは稀だったと思います。不安がなかったわけではありませんが、自分の好きな音楽とモノづくりに関われるのであればやっていけるだろうと思いました。

    大企業は安心感もあって魅力的に感じますが、企業研究を重ねていくうちに、大きな組織の中で細分化された業務をこなすよりも、全体像が見えるような規模の組織で今何のための仕事をしているのか把握しながら働ける環境の方が、自分には合っているなと思うようになりました。面接で星野楽器の本社に初めて訪れたときに、「こんなに小さな会社で毎年あんなにたくさんの新商品を生み出しているのか」と驚いたことを覚えています。

    今改めて当時を振り返っても、良い選択だったと言えると思います。文字通り楽器に囲まれて仕事をしていますし、会議中も新商品を考えるために大真面目に音楽の話をしています。少ない人数で仕事をしているので業務の幅は広く、いろいろな刺激を受けながら仕事ができます。私と同じように考える人にはとてもおすすめできる環境だと思います。

  • ー 就職活動をしている学生の方へのメッセージをお願いします。

    現代ではほぼ全ての事象について、調べればもっともらしい回答を得ることができます。しかし誰もが発信できる時代ですから、情報はその出処が人間であろうとAIであろうと玉石混交だと思います。誰かにとっては有用な情報でも、それが自分にも当てはまるとは限りません。情報をただ鵜呑みにするのではなくどんなときも自分でよく考えたうえで結論を出すことが大事だと思います。考えた過程を何かに書いて、形に残しておくのもとても有効な方法です。結果が成功でも失敗でも、自分で考えた過程が手元にあれば原因を追求し次に活かすことができます。行き詰まったときにそれを見返して冷静に振り返ると、意外と上手く進んでいることが分かって心の励みになることもあります。

    自身や他者の感性に敏感になってみましょう。コンテンツやモノといった区分を問わず、自分が好きなものに対して深く掘り下げて考えてみましょう。その好きなものについて何を良いと思うのか、どの部分がそう感じさせているのか。あるいはなぜ自分はそれを気に入らないのか、なぜあの人の好きなものが自分には刺さらないのか。分析して言葉にすることで、再現性を高めることができると思います。社会で他者と協力して何かを生み出すためには、コミュニケーションは不可欠です。好みや価値観は人それぞれですし、誰しも好き嫌いがあり、ときには意見が合わないことがあってもそれは自然なことです。自分の感じたことを言葉にして、他者の感じたことも尊重できれば、きっと建設的な議論ができるようになると思います。

    ただし言語化は万能ではありません。言葉にすることで削ぎ落されてしまうものもあるはずです。あなた自身の感性が持つ、微妙な感覚を忘れることなく大切にしていきましょう。

Q&A

ミニアンケート

Q.学生時代にがんばったことは?

音楽と、eスポーツと、筋トレです。がんばって遊んでいました。

Q.星野楽器に入って「これは苦労した……」と思うことは?

海外出張は想像以上に過酷ですね。飛行機を乗り継いで場所によってはほぼ一日かけて移動し、時差と慣れない環境の中で仕事するのはなかなかハードです。

Q.星野楽器に入って「よかったな」と思うことは?

一緒に音楽をやる人がたくさんいること。

Q.星野楽器をひとことで言うと?

熱意を支える堅い基礎。

Q.お休みの日は何をして過ごしますか?

音楽活動をしたり、友人とゲームをしたり、ボルダリングに行ったり。

Q.好きな音楽は?

何でも幅広く聞くので絞るのは難しいですが、最近は映画音楽などの劇伴をよく聞いています。

Q.今後の目標を教えてください。

価値観をアップデートし続けて、時代の半歩先を行くこと。

Q.オフの一枚

ここ数年ハマっているボルダリングです。少しずつ上達の実感を得られるのは楽器とよく似ていて、何か月もかけてようやく登れたときの達成感が最高です。

Job Report

私の仕事レポート

ひとつの企画が商品になるまで(モデルケース:Q & ICHI10)

主担当として私も深く関わったQシリーズとICHI10を例に取り、ひとつの企画が商品になるまでの過程をご紹介します。

どんな商品も、企画の根幹となるアイデアから生まれます。市場からの要望を元にすることもあれば、トレンドを分析したり、社員のふとした思いつきだったりと、アイデアの源は実にさまざまです。

企画を進めることが決まったら、次は見た目やパーツといった具体的な仕様を考えます。商品の仕様は価格に直結するポイントです。また、仕様が複雑であればそれだけ生産の安定性に影響を及ぼしやすくなり、生産効率が落ちてしまうこともあり得ます。もし、新商品は話題になっているのに生産が追い付かない、という状況になったら実にもったいないですよね。

今回は新規のレギュラーモデルとアーティストのシグネチャーモデルの企画を一緒に進めていきます。そのため、アーティストの要望は最大限に実現しつつも、量産での実現可能性も考慮しなければいけないので、細やかなバランス感覚が求められます。難しいからこそ、仕様検討は企画において一番の醍醐味ポイントですね。

生産委託先の工場でギターを作っていただくために、必要な情報をまとめた図面を作成します。図面作成は社内の専門部署に依頼します。スムーズな仕事のためには綿密な準備とコミュニケーションが欠かせません。

今回は完全に新規の形状ですので、工場に発注する前に社内のカスタムショップで試作品を作ります。実際に機械を動かして作業をしてみて、量産工程で問題が起こる可能性のある箇所などを洗い出し、必要であれば図面を修正します。

図面がそろったら、いよいよ工場にサンプルギター(試作品)を発注します。図面を基に、工場の担当者と相談しながら詳細を詰めていきます。

とくに大規模な新企画の場合は、より綿密な打ち合わせが必要なケースがありますので、サンプル発注の段階で海外出張をして工場に赴くこともあります。同じ空間で直接話すからこそ得られるアイデアや気付きもあり、これだけオンラインのツールが発達した現代であっても、対面でのコミュニケーションの大切さを実感します。

サンプルギターが完成して、工場から我々のもとに届きました。この世にまだ1本ずつしかないギターですから、ワクワクしますね!

図面どおりの仕様になっているか細かくチェックしていきます。新色や絶妙な色味が想像どおりに仕上がってきたときにはとても感動します。

シグネチャーモデルの場合は、仕様が要望どおりであるか、アーティストにも直接確認していただきます。

SNSなどに使う商品写真や動画を作成します。今回はアーティストが大きく関わるモデルですので、プロモーション動画にも出演していただきます。こうした業務を担当するのは主に宣伝部ですが、企画担当者として動画撮影に同行することもあります。新商品に対するプロの意見を直接伺うことができる、大変貴重な機会です。

Webサイトなどに掲載されるユーザー向けの製品情報や、木材の原産国情報、塗料・パーツに使われている化学物質情報の管理と整備も重要な業務です。

事前の準備がすべて整ったらいよいよ量産開始です。工場に駐在している品質管理のスタッフとも協力して、基準どおりに滞りなく生産されているかを丁寧にチェックします。

ついに商品が楽器ユーザーのもとへ。しかし無事に届いたからといってそれで終わりではありません。アフターサービスも重要な業務のひとつです。修理交換作業を行う小売店や代理店の方々が、ユーザーからのご要望にスムーズに対応できるよう、私たちは必要なパーツを速やかに手配する体制を整えています。

以上、企画が商品になるまでの流れの一例をご紹介しました。企画の内容によっては流れが異なる場合もありますが、おおよそこのような流れを繰り返し、たくさんの商品が生まれていきます。

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